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レコードがステレオの音源に占める割合はとても大きいものでした。オーディオ好きって人に限れば、レコードを聴かない、テープやカセット、FMのみって人にはあまりお目に掛かった事がありません。 レコードで良い音を聴くのには手間が掛かります。気に入ったカートリッジを捜して、信頼出来るトーンアームに付けて・・・・私の好きなMC型カートリッジを使おうと思えば更にカートリッジ用昇圧トランスが必要です。折角のカートリッジもトランスとの相性で台無しになる事も良くある事でした。 日本盤と洋盤とでは音が違う、初期プレスが最高なんて言い出して、とんでもない大枚をはたく人もいました。私は手を出しかねましたが、聴かせてもらうと音が違うのも事実なんです。好きなカートリッジを集めたり、レコードの原盤を捜したり、掛かる手間は楽しくも有り面倒でも有りました。レコードは豊かな世界だったと思います。 テープやFMはそのまま大きくすれば鳴りますが、レコードはそうも行きません。低音の再生には大きなエネルギーが必要です。レコードの狭い溝の中にそれを刻み込むのはかなり難しい事でした。逆にエネルギーの小さな高音は他の音にマスクされて消えがちでした。低音を小さく高音を大きくしてレコードに刻み、再生時には刻まれた低音を大きく高音を小さくして鳴らすことでレコードは進化して来ました。レコードの低音を上げて高音を下げる為のイコライザーは、時代やレコード会社に依って何種類もありました。 LP(ロングプレイ)レコードが普及して、更にステレオが出て来る頃にはRIAA(Recording Industry Association of America)カーブに統一されました。 音量や左右のバランス、音源のセレクター、トーンコントロール、と言った操作調整機能と、微細な信号を増幅することがプリアンプの機能です。もうひとつ、低音を小さく高音を大きく刻まれたレコードの信号を、RIAAカーブに沿って元の音に戻すPHONOイコライザーも昔は必要不可欠な機能でした。 最初にプリアンプの自作に挑戦したのは、安斉勝太郎氏のSRPP二段無帰還CRイコライザーを薦められたからです。当時通っていたブルース喫茶’キングビスケット’の鎌田さんは、私の好きなjump bluesを良くかけてくれました。古いカメラやオーディオ、自動車やバイクにも詳しい趣味人でもありました。LUXのA3500パワーアンプがあればプリアンプの電源を作らなくて済む。安いトランジスタアンプのイコライザーより桁違いに良い音だと言われました。それまでキットしか作った事の無い私は、複雑な工作を少しでも減らしたいと思いました。トーンコントロールやフラットアンプ段は止めてしまいました。結果とすればPHONOイコライザーにセレクターとボリュームを付けただけになりました。出鱈目な配線の所為でハムやマイクロフォニックノイズに悩まされました。取り回しを変えたり、真空管をtelefunkenのSQ管803Sに変える事で何とか使える様になりました。イコライザー自体の善し悪しも問題ですが、フラットアンプやトーンコントロールを飛ばした事が随分音を良くした様に思います。別のイコライザーを自作したりもしましたが、最終的にはカウンターポイントSA-139stと増幅段を持たないチェロのETUDEを使っていました。 つまり、レコードを聴いていた時分にはイコライザーがあれば、増幅段を持ったプリアンプは要らない。セレクターとボリュームさえあれば良い。・・・・プリアンプ不要論に傾いていました。 (その後のカウンターポイントの方が安斉式より音が良かった訳ではありません。雑音ひとつでアンプを開けたり閉めたりする自作より、既製品の方が気が楽に思えたからです。誰か腕の良い人に作ってもらえるなら安斉式にしたいと今でも思っています。 カウンターポイントSA-139stはEMTイコライザーのコピーと言う触れ込みでした。counterpointだのselectedだのと刷り込まれた6DJ8は立派なお値段の割りに大した音はしませんでした。シーメンスのCCaに差し替えて少しマシになりました)
by kawa-1
| 2010-10-11 14:55
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